バス運転手のひとりごと

バス運転手の日々の奮闘を紹介します

組合活動

バスや電車のストライキを最近は見なくなりましたよね。

 

昔はストライキがあると朝いつもより早く起きて、歩いて学校に行った経験をお持ちの方が多いのでは?(歳がばれますね)

 

バスや電車の会社には従業員を大勢かかえている企業が多く、そこには必ず労働組合なるものが存在します。

 

労働組合は、労働者が団結し会社(使用者)側と交渉を行うのですが、

 

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その最たるものが春闘とよばれる、ベースアップ等の賃金の引上げや労働時間の短縮などの労働条件の改善を求める労働運動です。

 

その交渉の中で、組合側の切り札としてストライキがあるんです。

 

私も労働組合の役員を務めていたことがあり、特に忙しいのが春闘の時期で、バスの運転以外の仕事が舞い込んでくるんです。

 

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代表的なものがスト権投票です。

 

交渉を有利に進めるために組合はストライキをちらつかせるのですが、労働者の総意であることを示すため、〇か✖かの投票をおこないます。

 

全組合員に投票をしてもらうため、役員は待機室に張り付いて全乗務員の名簿を片手に走りまわります。

 

営業所に帰ってきてもほとんど待機室に顔を出さずに、バスの中でゲームに夢中になる人や、食堂に直行して食事が終わったらそのまま発車してしまう人などつかまえるのがひと苦労!

 

それでも100%近い回答を得て、交渉に臨む代表者にこれを託します。

 

しかし近年はこの労使間の交渉もどこか帳面消し(とりあえず交渉しました的な)の様相で、妥結に至っているようです。

 

高度成長期の経済状況なら、業績も右肩上がりで組合としても強気の交渉ができたのでしょうが、現状はそうはいきません。

 

労使で衝突している間に会社の体力が落ちてしまいかねないのです。

 

ストライキなどしていると、世間の批判を浴びることにもなりますし。

 

 

若い乗務員たちに組合活動に関心があるかたずねると、ほとんど興味がないという答えが返ってきます。

 

会社にたてついて自分の立場を危うくしたくないということでしょうか。

 

そもそも組合活動なんて許されるの?と思っている若い人が多いことに驚きます。

 

労働者の団結する権利は、日本国憲法で保障されていることを説明するのですが、わかったのやらわからないのやら・・・

 

日本国憲法 第28条

勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

elaws.e-gov.go.jp

バスの運転手は、日々の乗務以外にも戦いの場があり、皆頑張っています!

 

あたたかい目で見守ってください。

 

 

女性乗務員

バス運転手の世界は圧倒的に男性社会であり、その比率は 男性:女性 でおよそ20:1ほどです。(これは私の営業所の例ですがおよそ5%)

 

ここ10年間を見ても、入れ替わりは多少ありましたがほぼ横ばいです。

 

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ちょっと気になって、全国的にはどうなんだろうと調べてみました。

 

するとビックリ!

 

現在、全国のバス運転手に占める女性の比率は約1.5%で、1,600人くらいと言われています。当協会では、この比率を将来10%にまで高めたいと考えています。日本の女性バス運転手を増やし、その環境をより良いものにしながら、バス業界にイノベーションを起こせるよう取り組んでいきたいです。

引用:公益社団法人 日本バス協会

 とありました。

 

興味のある方は覗いてみてください。

女性バス運転手についてみんなで語り合うイベント開催!|公益社団法人日本バス協会

 

驚くことに、私の営業所は全国的にみて女性の乗務員の割合が多かったんです。

 

それでも5%しかいない女性の乗務員。

 

そこで、なぜ女性が増えないのか、入っても定着しないのか。

私なりに考えてみました。

 

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まず冒頭に申し上げたように、バス運転手の世界は男性社会であること。

 

バスの営業所や折り返し場所などを想像してください。

古い建物で昭和の匂いがプンプンするような施設を見かけませんか?

 

女性を積極的に採用している営業所などでは、建物の見た目は古いが中の設備は改装してきれいにしてあるところもあります。

 

しかしそれは100%ではありません。

問題はそこにあるようなのです。

 

私のまわりにいる女性達から漏れ聞こえてくる声で、大きな不満の一つとして使用するお手洗いの問題があります。

 

現在の営業所は今から5年ほど前に建て替わり、立派できれいな社屋に生まれ変わりました。

 

しかし、その以前は築50年近いボロボロの社屋。

 

その営業所が建てられた頃には、おそらく女性乗務員がいなかったのでしょう、なんと女性用のお手洗い(乗務員用の)がなかったそうで、お客様用を使うか男性用に仕方なく入るしかなかったそうです。

 

まだ新しくなっていない営業所もあり、そこには女性乗務員を配属させていません。

 

今でも小さな折り返し場(バスが2~3台とめられる程の広さ)には、仮設のお手洗いがひとつあるだけなんてのはザラです。

 

まわりから注目される女性乗務員です。終点についたらお化粧直しもしたいでしょう。

運転中にトイレにいかなくてすむように用をたしておきたいでしょう。

 

実際、男性の私でさえ運転中にお客様にことわってトイレに行くのは、とても勇気がいることです。

 

これを女性がするとなると、心がいたみます。

このままほったらかしなんてできやしない。

 

私は声を大にして言いたい!

 

本当に女性の活躍の場を提供しようと思うのなら、安心して働ける環境を大至急整えていただきたい。

 

以上、女性にやさしい、女性の味方、こころやさしいバスの運転手でした。

 

 

今一番興味があること

バスの運転手が、今一番興味があることって何だと思いますか?

 

ギャンブル?

 

ちがうちがう

 

キレイなおねーちゃん?

 

それもちがう

 

政治・経済?

 

んー それもたぶんちがう

 

答えはまた後ほど

 

 

ここでもうひとつ問題です!

 

日本の法律で一番守られていない法律ってなんでしょう?

 

刑法?民法会社法

 

テレビや新聞等で毎日のように事件や犯罪の報道がありますが、実はもっとケタ違いに守られていない法律があるんです。

 

そう、それは道路交通法

 

道路交通法はその第一条で

『この法律は、道路における危険を防止し・・うんぬんかんぬん、道路の交通に起因する障害の防止に・・うんぬんかんぬん・・・』とありますが

 

興味のある方はご覧ください。

elaws.e-gov.go.jp

これがホントに守られていないのです!

 

速度オーバー、信号無視、駐車違反、極めつけは飲酒運転!

 

40キロ制限の道路を40キロで走ってたら、後ろからあおられていやな経験をした人も多いのでは。これじゃあまじめにルールを守ってる人が悪いみたいですよね。

 

 

ここで最初に問いかけたバスの運転手が今一番興味があることなんですが、

 

それは、自動運転システムです。

 

すでにこのシステムは完成段階にあり、いつでも導入できるという噂がとびまわっています。

 

そうなると困るのは・・・

 

そう、バスの運転手なんです。自動になっちゃうと運転手がいらなくなりますから。

 

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こんなんで

 

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走られたら商売あがったりです!

 

電車の自動運転(無人運転)はすでに一部で始まっています。

 

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これは線路の上を走る電車ならではの特権で、なんの障害物もない渋滞もない歩行者や自転車もいない、危険が少ないから実現できているのです。

 

バスは一般道を歩行者等に気を使いながら運行しています。急な飛び出しがあってもすぐに止まれるよう予測運転もしています。

 

そのへんのところも自動運転にはクリアーできているらしいのですが・・・

 

あともうひとつ

 

40キロ制限は必ず40キロ以下で、信号は黄色になったら止まる(これはあたりまえですよね)

 

横断歩道は歩行者がいたら止まる。(横断歩道近くに歩行者がいたら徐行するか停車するのは、これもあたりまえなんです)

 

しかし、これらのあたりまえの行為をおこなえば、車の流れが悪くなり街のいたるところで渋滞が発生するでしょう。

 

道路交通法をあたりまえに守っている世の中ならこれでいいのでしょうが、ルールを守るのが常識外れと言わんばかりの世の中です。

 

でもそのおかげでバスの自動運転を実現するには新たな法改正が必要となっているようです。

 

ですから皆さん!バスの運転手の仕事がなくならないように、ほどほどにルールを守って、安全運転しましょうね!

 

ほどほどに!!

 

 

 

珍客②

バスの車内というのは朝夕のラッシュ時を除き、学生さんが集団で乗ってきたり、酔っ払いのサラリーマンがひと目をはばからず大きな声でおしゃべりするとき以外は、ほんと静かなものです。

 

運転していて気になる音といえば、ヘッドフォンから漏れ聞こえてくるシャカシャカ音や、疲れて弱音をはいているようなバスのきしむ音。

 

こんな静寂の中、突然、キャー! ワー! ヒェー! と折り重なるように悲鳴が響き渡ります。

 

痴漢か、はたまたバスジャックかとあわててルームミラーで車内を確認。

 

すると、ドア付近に座っている女性が頭を抱えて座席にうずくまっています。

 

その後ろでは初老の男性が手に何かを握りしめ、大きくふりかぶり今にも前の座席でうずくまっている女性に襲いかかろうとしているではありませんか。

 

通路をはさんで座っていた女性があわてて立ち上がり、運転席の私に何か言いながら走り寄ってきます。

 

 

「う、運転手さん、ハチです!ハチが飛び込んできてます!」

と、慌てふためいた様子。

 

見ると一匹のハチが天井付近を飛び回っています。

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こんなかわいいんじゃなくて

 

 

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こんなグロテスクな奴!

 

お客様のためなら自分の命すら惜しまない正義感の強い私は、バスを緊急停車させ、そのハチの現れた現場に向かいます。

 

でもその前に・・・

 

刺されたら痛いだろうから、中ドアを開放しその珍客に出ていってもらう作戦を選択。

 

現場に到着すると、先ほど前の席の女性に襲いかかっていたように見えた初老の男性が、実はそのハチを退治しようとしていたのです。

 

手に持っていたのは丸めた新聞紙でした。

 

「退治したからもう大丈夫ですよ。ティッシュにくるんで座席の隙間にはさんでおいたから、運転手さんあとで処理しておいて」

 

私は、深々と頭を下げお礼をし運転席にもどります。

 

車内は割れんばかりの拍手喝采と、「ありがとうございます」「助かった」の喜びの声。

 

運行を再開し、その男性が降りる際にもう一度ていねいにお礼をし、降りていくうしろ姿を見送りました。

 

なんかカッコイイ。

 

 

その後、終点につき車内の忘れ物を見てまわります。

 

先ほどの人騒がせなハチの始末をしようと思い、シートの間に挟んであったティッシュを手にとり恐る恐る開いて見ると・・・

 

 

ハチがいない!!

 

どこ行ったん???

 

 

 

眠たくなったらとにかく寝る

バスの運転手は、日々過酷な勤務を強いられています。

今日は現場の実態とあわせて、その現状を明かしてみます。

 

喫緊の課題として問題となっているのが、運転手の不足です。

要するに、人が足りないからそのしわ寄せが運転手に回ってくるわけです。

 

 

その影響で、運転手に過剰労働や超過時間乗務などあってはならない危険な状況におちいってしまう。

 

以前あったツアーバスの事故では、大きくマスコミ等で取り上げられたので、ご存知の方もいらっしゃるのでは?

 

その原因の一つとしても、バスの運転手の人員不足が報じられていました。(人が足りないから休日返上ではたらいているんです)

 

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そういうわけで・・・

 

このイラストで伝わるかは疑問ですが、とにかく眠い!

 

ほぼ毎日朝5時台に起きて、家に帰りつくのは夜の9時10時。(睡眠時間はせいぜい5~6時間)

 

これで眠くなるなと言うほうがどうかしてる。

 

私の対処法として、眠くなったら何とかして寝る。たとえ休憩時間が15分しかなくても寝る。(私のような単細胞な人種は眠りにつくのがとてもはやい)

 

これがとても気持ちがいいのです。

 

たとえ5分でも、自分で睡眠をとれた自覚があれば、まるで冬眠から目覚めたようなさわやかな気持ちになれます。

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長時間のドライブなどで眠気を感じたら、ぜひ実践してみてください。

 

ただ、人によって効果はまちまちで、そもそもそんな短時間じゃ寝付けないというかたもいらっしゃるでしょう。

 

運転手の中にも、神経質でどこでも眠ることができない者もいます。

 

だから、運転中ちょっと目がとろ~っとしたり、お客様への対応が散漫になってしまったりもしてしまいます。

 

そんな運転手のためにも、なにとぞあたたかい目で見守っていただければ幸いです。

 

お客様の安全を第一に考え日々戦っているのですから。

 

 

 

珍客

バスを運転しているといろんなお客様がご乗車されます。

 

ある良く晴れた日のことです!

バス停に2~3人の方がバスを待っていました。

 

その後ろにちょこんと座ってじっとしている、わんちゃんを発見!

 

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見ると首輪はしているのですが、一人(一匹)で座っている様子。

近くにご主人様らしき人物も見当たりません。

 

そんなことはあまり気にせず、普通にドアを開けお客様を迎え入れ、ドアを閉め発車しようとルームミラーで車内を確認すると・・・

 

さっき一人(一匹)でバス停の後ろにいたわんちゃんが、あたりまえのように車内の床に座っています。

 

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バスの運転手は、乗車されたお客様がお座りになるか手すりにつかまるまでは安全のため発車しません。(車内での事故を防止するためです。特にお年寄りには気をつかいます。)

そしてそのわんちゃんは「ちゃんと座ったから早く発車して」と言わんばかりに前方を見すえています。

 

私は最後のお客様が座ったのを確認し、ドアを閉め、ギアを入れ・・・?

 

いやいやちょっと待て。

 

まわりのお客様も気づいているのかいないのか。

ざわめきさえも起こらないごく普通の、お昼の時間帯によく見る車内の光景であります。(立ち客はゼロ、車内に14~15人ほどの乗客)

その突然の珍客をのぞけば・・・

 

その後、事情を説明し、そのわんちゃんには降りていただきました。(ん?)

 

バス停を発車し、バックミラーで様子をうかがうと、寂しげにうなだれるわんちゃんの姿が映っています。

 

ご主人様とはぐれてしまい、いつも見送っていたバスの中をさがしていたのか。

ご主人様にしかられて家出を決行したのか。

はたまた、いい匂いにつられてつい飛び乗ってしまったのか。

 

こんなありえないことを、ずっと考えながら運転をしていました。

(乗ってきたのは本当です!)

 

営業所にもどり仲間に話すとめちゃくちゃ盛り上がります。

 

非日常の出来事が起こると、神経をすり減らしてどっと疲れるか、心が癒されとても穏やかな気持ちになるかのどちらかです。

 

今回はどちらかというと後者で、乗車中のお客様もバス停にたたずむその珍客をずっと目で追いかけ、手をふってやさしく見送っていらっしゃいました。

 

珍客に感謝!

 

 

 

 

 

 

 





 

 

雪の日は交通も運転手も大パニック

バスの運転手にとって寒い日の朝はとてもつらい。

電車と違って暖房が効かないんです(しょっちゅうドアは開けるしスキマだらけだし)

 

お客様から「暖房いれんか」って罵声をあびます(けたたましくゴオォーって暖房がうなってるのが聞こえないんですか?)

 

新車から3~4年程度ならポカポカで気持ちよく乗れますが、大体6~7割はこんなシマツ!(整備、しっかりしろ)

 

 

雪が降って積もったりしたら、もうたいへん!

高速道路は通行止め。ゆえに一般道は大渋滞。

 

だいたいこんな日に車で通勤って、どうかしてるぜ!

公共交通機関どうぞご利用ください。

 

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そしてこんな日は、いつもより20~30分は早めに出社します。

それは、恐怖のチェーンまきが待っているからです。

 

バスのチェーンが激重ってこと知ってます?(成人男性でも気合い入れて持ち上げないとスグ腰をいわします。なんと25㎏もあります)

 

朝はまだ営業所に人がたくさんいるので、手伝ったり手伝ってもらったりしてなんとかなるんです。

 

でも、折り返し場についたときとか、峠の手前で装着指示があった日にゃー、そりゃあもうたいへん!

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一人で作業しなけれればなりません。

 

チェーンまかないとその先走れない、場合によっては乗客を乗せたまま路上で作業しなければならない(もう泣きそう)

 

男の私でさえこんなだから、女性の運転手はホントにかわいそう。

 

 

と、思いきや見ると女性の運転手が一人でチェーン装着終わってる!

 

いや~なんとたくましいことでしょう。

 

 

このように

我々バスの運転手は日々お客様の足となり、快適で安全な運転をこころがけています。