バス運転手のひとりごと

バス運転手の日々の奮闘を紹介します

珍客

バスを運転しているといろんなお客様がご乗車されます。

 

ある良く晴れた日のことです!

バス停に2~3人の方がバスを待っていました。

 

その後ろにちょこんと座ってじっとしている、わんちゃんを発見!

 

f:id:ganbaru314:20190218001749j:plain

 

見ると首輪はしているのですが、一人(一匹)で座っている様子。

近くにご主人様らしき人物も見当たりません。

 

そんなことはあまり気にせず、普通にドアを開けお客様を迎え入れ、ドアを閉め発車しようとルームミラーで車内を確認すると・・・

 

さっき一人(一匹)でバス停の後ろにいたわんちゃんが、あたりまえのように車内の床に座っています。

 

f:id:ganbaru314:20190218001717j:plain

 

バスの運転手は、乗車されたお客様がお座りになるか手すりにつかまるまでは安全のため発車しません。(車内での事故を防止するためです。特にお年寄りには気をつかいます。)

そしてそのわんちゃんは「ちゃんと座ったから早く発車して」と言わんばかりに前方を見すえています。

 

私は最後のお客様が座ったのを確認し、ドアを閉め、ギアを入れ・・・?

 

いやいやちょっと待て。

 

まわりのお客様も気づいているのかいないのか。

ざわめきさえも起こらないごく普通の、お昼の時間帯によく見る車内の光景であります。(立ち客はゼロ、車内に14~15人ほどの乗客)

その突然の珍客をのぞけば・・・

 

その後、事情を説明し、そのわんちゃんには降りていただきました。(ん?)

 

バス停を発車し、バックミラーで様子をうかがうと、寂しげにうなだれるわんちゃんの姿が映っています。

 

ご主人様とはぐれてしまい、いつも見送っていたバスの中をさがしていたのか。

ご主人様にしかられて家出を決行したのか。

はたまた、いい匂いにつられてつい飛び乗ってしまったのか。

 

こんなありえないことを、ずっと考えながら運転をしていました。

(乗ってきたのは本当です!)

 

営業所にもどり仲間に話すとめちゃくちゃ盛り上がります。

 

非日常の出来事が起こると、神経をすり減らしてどっと疲れるか、心が癒されとても穏やかな気持ちになるかのどちらかです。

 

今回はどちらかというと後者で、乗車中のお客様もバス停にたたずむその珍客をずっと目で追いかけ、手をふってやさしく見送っていらっしゃいました。

 

珍客に感謝!